「蕎麦懐石と茶懐石」2004/02/12

プロフィールに書いたように、僕は「女鳥羽そば」と「茶懐石和幸」で修行をしました。

「女鳥羽そば」は、うどんやご飯ものは一切なくて、そば専門のお店です。そこで手打ち蕎麦や料理の知識と技術を教えてもらいました。

「茶懐石和幸」では、様々な料理や調理法、お茶事など様々な事を学びました。

手打ち蕎麦とお茶事は「あずまそ」には無かったものです。
まずは、実家のやり方になれるのが先だったので、それらをやると全てが中途半端になるのでやらなかったのですが、帰ってきて半年以上の時間が過ぎて、実家のやり方に随分なれてきたので12月から手打ち蕎麦の方はやり始めました。

そして、先月初めてそれらの予約を頂きました。その予約を頂いた時は、やっと親方たちにほんの少しだけど、ご恩返し出来ると思いうれしかったです。

「あずまそ」の蕎麦懐石は予約だけになっています。
完全に違う仕込が必要なので予約をしていただかないと出来ないのです。しっかりした仕込みがあってこそ、美味しいものを出せます。そのために予約にしています。

蕎麦懐石とは、言わば蕎麦料理のことです。
実を言うと蕎麦懐石という言葉はあまり好きではないのです。

懐石という言葉はもともと禅門からでたものです。
禅僧が断食して座禅を行うとき、空腹を忘れるために温石を懐中に入れました。そこから空腹しのぎの簡単な食事を懐石と呼ぶようになり、茶の湯に取り入れて現在に至りました。
茶の湯の懐石は、お客を持て成す誠意がこもっている料理です。
ですから、懐石という言葉は、茶の湯の時にのみ使われるのが正しいのです。
逆を言えば、最近では茶の湯の時意外で懐石という言葉を使うのはおかしいのと感じています。

でもその反面、正しく伝わっていないとはいえ、これだけ世の中に広まっているので、あまり気にしても仕方がないとも思っています。

僕からすれば蕎麦懐石でも蕎麦料理でも、名前が違うだけで内容は同じなのです。
ただやっぱり、気になります。
それは茶懐石の修行もしてきましたので、それに対する誇りがあります。もちろん蕎麦にも誇りをもっています。
それらを語りだすと簡単には終わりませんので、またの機会にしたいと思います。